Book Skirts

本の帯はスカートみたいなもんだ。

その後ろ姿は白い影に見えた

 

 

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引用:Amazon.co.jp 白夜行 (集英社文庫)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

読者を嘲笑う本が存在する。

 

例えば、ラストシーンでひっくり返してくる小説はその1つだろう。

 

読者に対して、「わからなかっただろう?」と、耳元で囁いてくる。その悔しい快感が次の小説へと誘う。映画だってそうだ。


「星を継ぐもの」「ボトルネック」「葉桜の季節に君を想うということ」映画なら、「アフタースクール」「メメント」とかがそんな感じだ。

 

 

しかし、ラストでひっくり返す形ではない嘲笑い方もある。

 

「君は彼らの一部しか知らない」と、著者突き付けられる。
想像しても、たどり着けないほどの濃密な舞台裏を感じさせられてしまう。

 


通常の物語は大事な心理が作られる場面を強調するものだと思う。
ましてや、隠す事はない。


重要な心理が作られる場面を隠したまま書く事はとても難しく、読者を混乱される。

 

しかし、この小説はやってのける。第三者視点からしか心理描写を書かないという方法で。

 

その第三者の視点も固定されない。

この小説に定点観測者は存在しない。

 

つぎはぎの視点から滲み出る物語を繋げる事しか読者にはできない。

 


関係性の重大さは端々から透けて見える。しかし、本当に何が起こったのか分からない。

 

何がそこまでさせたのか。

 


何が、1人の人を太陽とまで言わしめたのか。踵を返した彼女はどんな表情なのか。

 


全ては夜に起こったこと。
暗くて何も見えない。
夜を照らす明かりも持たぬ者には。

 

 

 


白夜行/東野圭吾