Book Skirts

本の帯はスカートみたいなもんだ。

It'll come to us

 

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引用:Amazon ジョー・ブラックをよろしく [DVD]



 

 
 
『What are we doing now?』
『It'll come to us』
 
 
『私たちはこれからどうなるの?』
『時間が、教えてくれるよ』
 
 
 
 
なんて、綺麗なフレーズなんだと思った。
 
 
 
簡単な、誰でも知ってる英単語で、こんな意味か。 と。
この訳が映画で字幕として出た時、唸ってしまったのを今でも覚えてる。
 しかもブラピがいうのだから絶品である。
 
 
「It'll come to us」 というフレーズは、
この映画で二回使われている。
 
 
 
 
 セリフ自体の意味は、回答を濁す、躱すためのフレーズで、
『まぁ、とりあえず、保留で』をかっこよくしただけの言葉だ。
 
 
 
だが、『保留できる』ということが、
死をテーマにするこの映画では特別な意味を持つ。
 
 
 
同じセリフであっても、
答えを保留した理由も、責任のとり方も、
2つのシーンで全く違う。
 
 
 
だからこそ。
 
 
 
 
2回目のセリフを目の当たりする時、彼女はあの表情なのだ。
 
 
 
 
死を保留することはできない。
 
 
 
 
去りがたいくとも、いかねばならない。それが人生なのだ。

 

 
花火を見つめてそう語り合う二人が、
光と逆方向へと踵を返すその瞬間。
観ている人は思う。
 
「哀愁漂う」とはこのシーンのためにあるのだと。
 
 
ジョーブラックをよろしく
 
 
 
 

・・・うん。もう戻れないよ。ずいぶん遠くまで歩いてきたもん。

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引用:Amazon.co.jp ソラニン 新装版 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

 

 

 

 
10年前の自分は、何をしていただろうか。
 
10年後の自分は何をしているだろうか。
 
 
10年後の自分は、、、生きているだろうか。
 
 
 
登場人物も作者も読者も10年経った漫画に、なんの飾りもない1話が加わった新装版。
否応無く、自身の10年を振り返ってしまう。
 
 
 
登場人物たちの10年は、語られないけれど。
 
たぶんそこまで変わりなくて、まじめに、でもだらっと、続いてきたのだろうし、ここからもそれなりに続いて行くのだろうと思う。
 
 
追加された1話も、その中の一つの通過点を切り取っただけの。
「ゆるい」幸せな空気が流れる1話
 
 
本編では「ゆるい幸せ」という言葉には、
それでいいのか?という毒があるけれど。
 
 
幸せになるためには、困難な一つの方法しかないなんて、、
そんな事は考えない、若くて硬い考えが抜けた。
本編にはない幸せの空気が流れている。
 
彼らにその幸せが訪れたことに、
その幸せを僕たちに見せてくれたことに、
涙があふれる。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後ろ姿は白い影に見えた

 

 

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引用:Amazon.co.jp 白夜行 (集英社文庫)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

読者を嘲笑う本が存在する。

 

例えば、ラストシーンでひっくり返してくる小説はその1つだろう。

 

読者に対して、「わからなかっただろう?」と、耳元で囁いてくる。その悔しい快感が次の小説へと誘う。映画だってそうだ。


「星を継ぐもの」「ボトルネック」「葉桜の季節に君を想うということ」映画なら、「アフタースクール」「メメント」とかがそんな感じだ。

 

 

しかし、ラストでひっくり返す形ではない嘲笑い方もある。

 

「君は彼らの一部しか知らない」と、著者突き付けられる。
想像しても、たどり着けないほどの濃密な舞台裏を感じさせられてしまう。

 


通常の物語は大事な心理が作られる場面を強調するものだと思う。
ましてや、隠す事はない。


重要な心理が作られる場面を隠したまま書く事はとても難しく、読者を混乱される。

 

しかし、この小説はやってのける。第三者視点からしか心理描写を書かないという方法で。

 

その第三者の視点も固定されない。

この小説に定点観測者は存在しない。

 

つぎはぎの視点から滲み出る物語を繋げる事しか読者にはできない。

 


関係性の重大さは端々から透けて見える。しかし、本当に何が起こったのか分からない。

 

何がそこまでさせたのか。

 


何が、1人の人を太陽とまで言わしめたのか。踵を返した彼女はどんな表情なのか。

 


全ては夜に起こったこと。
暗くて何も見えない。
夜を照らす明かりも持たぬ者には。

 

 

 


白夜行/東野圭吾

本の帯

 


過度な露出は卑しい、いやらしい行為だ。


でも、スカートやダメージジーンズのように適度な露出が人を惹きつける場合もある。いや、適度な。というよりも、露出度合いは男女問わず自己を表現する方法の1つ。ということだと思う。


本の帯は、本にとって女性のスカートのような、そんな存在なのだと思う。ネタバレという卑しい行為と本の魅力を引き出すという使命の狭間にある。

秘密主義な帯もあれば、過度に中身を晒しすぎるものもある。


やけに長い帯になるけれど、自分の好きなものの帯を書いていきたい。


1人でも自分の好きなものを手にとってもらえたら最高じゃないか。
という気持ちで、気長に書いて行こうと思いますのでよろしくお願いします。